この星を見上げたら、僕はキミの幸せを願う。


「ずっと目障りだったからスッキリした。それと早く出てってね。受験勉強の邪魔だから」


えみりはフフンと鼻で笑ってそう言うと、バタンッとドアを力任せに閉めて行った。

写真は無事だったけれど、写真たてはお母さんから誕生日にもらった物。

駆け寄って写真を拾い上げたら、鼻の奥がツンとしてきた。

私は写真を手にしたまま、部屋を出てそのまま外へと飛び出した。

暗い住宅街を駆け抜けていくけれど、行く宛てなんかもちろんない。

明かりがもれている家からは、家族の温かい笑い声が聞こえてきていたたまれなくなった。

耳に入れないために走るしかなかったんだ。


「何で……何で私をひとりにして行ったの?お母さん……っ!」


立ち止まって見上げると、空には無数に散らばる星が瞬いている。

私はそこに向かって、泣きながら叫んだ。

暗い闇の中でどんなにもがいてももがいても抜け出せなくて。

どれだけ走っても光なんか見えなくて。

私は一体どうすればいいの……?