苛立ちを抑えようと、深呼吸を繰り返していたら再びドアが開いた。
この家の人はみんなノックをせずに開けてくるなんて。
「お姉ちゃんのTシャツが混ざってたんだけど。超キモい」
「……」
入って来たのはえみり。
指先でTシャツをつまんだ状態で私に差し出している。
黙ってそれに手を伸ばすと、えみりは手を引っ込めた。
「出て行きたいのなら出てってよ。これ以上お母さんを悲しませないでくれる?ウザい」
「アンタに言われなくてもそのつもり」
苛立ちがおさまっていない状態で言われたものだから、思わず言い返してしまった。
えみりはカチンときたらしく、私のTシャツを握りしめると写真たてに向かってそれを投げつける。
勢いよく飛んで行ったTシャツは、棚の上にあった写真たてにヒットし、倒れてそのまま床に落ちた。
ガシャンッと派手に音がして、写真たては真ん中から亀裂が入り壊れてしまった。



