お母さんがいたから、毎日を過ごしてこられた。

お母さんがいなくなった家の中は、ガランとしていて静かで広くて、寂しくて悲しくて。

そんな私を気遣うわけでもなく、お父さんは相変わらず仕事で忙しいみたいで、顔を合わせる事がほとんどなかった。

毎日テーブルの上に2千円がのっている状態で。

この家を一刻も早く出たかった私は、毎日、食事代のみ使って、余った分は貯金箱に入れたけど。

お父さんは会社で役職についているから、それなりに裕福な家。

だからって、心の寂しさだけはいつも埋まらなかった。

これだけはお金じゃ買えない。


「結月、今度の日曜日、あけておいてくれ」


そんなある日。

お父さんが久しぶりに話しかけて来た。

何の用かまではわからなかったけれど、お母さんのお墓参りにでも一緒に行こうとでも言ってくれるのかと期待した。

ガラにもなく、毎日ドキドキしながら過ごして。