「川上君に聞かれちゃったのはマジヤバいし」
「……川上君?」
「そそ。彼、人気者だし、嫌われたら学校生活終わりだっていうくらいだしね」
……ああ、そういう事。
ナオは別に自分が悪いことをしたって、反省しているわけじゃないんだ。
今、恵まれた環境にいるから何も見えていない。
自分がどれだけ幸せなのかを。
「本当、ゴメンネ」
ナオはそう言って、私にパンとジュースを押し付けると、教室の方へと行ってしまった。
「ごめんね、お待たせ……って、何かあった?」
その後すぐに恵茉が戻ってきて私の顔を見るなり、不思議そうな表情を浮かべた。
「……何もないよ」
ナオの顔が脳裏に浮かんだけれど、首を横に振って答えた。
話せば、同じ部活の仲間なのに恵茉とナオの関係が悪くなるかもしれないし、聞いても気分悪くなるくだけ。



