私は中身を磨いて、しっかりとした大人になっていきたいんだ。
リツの抱える闇を受け止める事ができなかっただけじゃなくて、知る事すらできなかったから。
自分の闇を吐き出すだけでなく、人の痛みを気づく事ができるようになりたい……。
「まだ時間はあるから、ゆっくりと探していこう。相談にも乗るから」
「ありがとうございます」
先生にお礼を言って、私は教室へと足を向ける。
何気ない事がきっかけだったのに、世界はすべて変わり始めた。
自分の中にあった気持ちでさえも……。
そんな風に変えてくれたのは、すべてリツだよ。
私の世界に小さな光をくれた人。
あの夜空に瞬く星のような希望の光を……。
「リツ、待った?」
「すげー待ったし、待ちくたびれた」
マフラーを口元にまで巻いていたリツは、ジャングルジムに寄りかかりながらそう答えた。
季節はもう冬に入っていて、すっかり寒くなった。



