この星を見上げたら、僕はキミの幸せを願う。


川上君は唇をかみしめて体を震わせている。

今までずっと誰にも心配かけないようにと気丈に振る舞ってきたのかもしれない。

こらえきれずに、彼の目から涙がこぼれ落ちる。


「律、ふざけんな!いなくなればいいだなんて、誰が思うかよっ!何でもかんでもひとりで抱え込みやがって……っ!」

「……ゴメン」


感情をむき出しにしている姿を見たのは初めてなのか、リツは川上君の姿に驚いて目を丸くしていた。

ゴシゴシと乱暴に川上君は涙をぬぐうと、クルッと背を向ける。


「母さんに電話してくる。藤村、律がまた寝てしまわないか見張っててくれ」

「あ、うん……」


川上君はそう言うと、ドアを開けて部屋を出て行ってしまった。

彼がいなくなって静かになった部屋で、沈黙を先に破ったのはフッというリツの鼻で笑った声。


「リツ……?」

「弘貴に初めて……怒られた」


そう言って目を閉じたので、私は慌てて握っていた手に力を入れる。