思った事は言葉にしなければ伝わらない。

だけど、リツは全てが怖かったんだと思う。

自分が眠っている間、家族の本音を知るのが怖くてきっとここにはいられなかったんだ。

だからそばの公園で星を見上げて流れ星を探して願おうとしていたんだ。

私が笑顔になりますように……じゃなくて、自分が心から笑えるようにって。

リツはずっと心の底から笑いたかったはず。

人の顔色をうかがって笑うような偽物じゃなくて……。


「頭を打ったけれど、脳には異常は見られなかった。意識が戻れば大丈夫だって言われたのに、リツが目を覚ます気配は全くない。だから、いつ目を覚ましてもいいようにって、母さんはリツが好きなクッキーを毎日焼いて持ってきてるんだ」


川上君の言葉にハッとする。

私がお礼だと言って彼からクッキーをもらった時にリツは反応していた。

『母さんと一緒に作ったんだろ?』って。