そう話したら、川上君の表情がフッと和らいだ。
「アイツさ、初めて出会った時から星が好きだったみたいでずっと星の図鑑を見てたよ」
「そうなんだ……?」
願いをかけるために流れ星を探していただけじゃなく、元々星が好きだったんだ……?
何となく幼いリツの姿を頭の中で描いてしまう。
「……リツの事、どこまで聞いた?」
「どこまでって……」
自分は愛人の子で、小学生の時に母親が亡くなったから今の家に引き取られたという事は聞いた。
それ以外に何かあるのかな?
「あの、複雑な家庭環境だって……」
軽々しく口にできるワードでもなく、濁す形で言うと川上君が小さくうなずいた。
「確かに他と比べるとうちは複雑かもしれないけど、俺とリツは血が繋がった兄弟なんだからそれでいいんだって俺は思っていたんだよ」
病院のロビーを抜けて、エレベーターホールに来ると彼はボタンを押す。