「なあ。とにかく落ち着けって」


必死になって喚き散らす私を落ち着かせるかのように、私の両肩を力強くつかんだ川上君。

彼の真剣な顔を見ていたら何も言えなくなってしまった。

私が黙り込んだのを見て、川上君は手を放す。


「……時間あるか?」

「あるよ」


友達と星を見に行くって言って出て来たし。

時間もまだそんなにたっていないはず……。


「……じゃあ、ついて来て」


川上君はそう言って病院を指さした。

私は病棟の方を見上げてしまう。

リツはこんなに近くで眠っていたんだね……。


「藤村はリツと前から知り合いだったのか?」

「……ううん。一週間前に公園にいたらリツがジャングルジムの上にいたの」


歩きながら、川上君の質問に答える。

出会った時は、変な人だなって思った。

あそこで空を見上げながら流れ星を探してるなんて、変だって思うし。