私は首を横に振った後、おばさんの方を見た。
えみりの隣で目が赤くなっている。
今まで、おばさんおばさんって呼んできたけれど、見た目はそこまでおばさんではない。
顔立ちが可愛いえみりの母親だけあって、アラフォーだけどそう見えないほど可愛らしいと思う。
「……おばさん、名前何だっけ?」
「えっ?」
絶対に受け入れてやるものかと強く強く心に決めていた。
だけど、えみりの本心と本当のお父さんの姿を知ってしまったら、今までと同じような気持ちにはなれなかった。
お母さんの手紙には新しい家族ができたとしたら心を開いて、私のいいところをどんどん見せてあげてって書かれていたし。
それに背いたらお母さんを悲しませるような気がして。
「あ、春奈です……」
「春奈サンね……」
やっぱりお母さんと呼ぶことはできない。



