この星を見上げたら、僕はキミの幸せを願う。


お互いの子どものため……。


「……だけど、結月に言われてお父さんもお母さんもハッとした。自分の子どもを信用しすぎていて本当の姿が見えていなかったんだ。えみりも結月もどれだけ寂しい思いをしてきたかっていう事を」

「バカじゃないの……。子どもに言われて初めて気づくとか」

「そうだな。バカだな……」


そう言って頭を上げたお父さんは目尻をぬぐう。

ずっと怒った表情しか見てなかったから、こんな姿を見せられたら泣けてくる。

だからって、すぐにお父さんに心を開く事はできないけどね。


「えみりに本気でぶつかってやってよ。さっき私にビンタしたくらい、この子にやっても大丈夫だよ」

「えっ?!」


突然、話を振られてえみりはビクッと体を硬直させる。

あのビンタは強烈だったから、えみりもできる事なら食らいたくはないだろう。


「悪かったな。女の子の顔をひっぱたくなんて、父親失格だよな。ひどくなってなくて良かった……」


意地悪く言った私の左頬にお父さんがそっと触れる。

幸い、腫れはひいていて痛みも何も感じない。