この星を見上げたら、僕はキミの幸せを願う。



「……お母さんっ!」


手紙を持つ手が震えてきて、私はギュッと握りしめる。

家庭を顧みない冷酷な父親だとずっとずっと恨み続けて来た。

雷鳴が轟く中、お母さんの亡骸にしがみついて泣いた日もどれだけ心細かったと思ってんだろうって。

けど、手紙の内容が本当なら、お父さんはお母さんを見捨てていたわけじゃなかった。

仕事よりお母さんを選んだわけではなかった。

私が知らなかっただけで、お父さんはちゃんとお母さんの事を……。


「結月、ごめんな。お前がしっかりしているからお父さんが何もしなくても大丈夫だって安心していたんだ。お母さんが死んだ日も駆けつけてやれなくてごめん。雷で電気系統がやられて修復作業に時間がかかって抜ける事ができなかった」


深々ともう一度頭を下げたお父さん。

ポタポタと音をたてて手紙の上に涙が落ちる。

涙のしみが広がっていき、字が少しだけにじんだ。


「再婚の事も、本当にすまない。同じ境遇だった今のお母さんと出会って、意気投合したんだ。お互いの子どものためにもいいだろうって、勝手に決めてしまった。家族ができて誰も寂しさはなくなる。きっと結月もえみりも喜んでくれるだろうって……」


お父さんの声は震えている。