この星を見上げたら、僕はキミの幸せを願う。


今まで長い間すれ違いの生活を送っていたし、そんな事を言われてもどんな顔をしていいかわからない。

辛い思いさせてすまなかったって……。

そう言って頭を下げるお父さんは、どこか小さく見えた。

今さらそんな事を言われても、どう返事をすればいいのかわからない。

謝ったところでお母さんが亡くなった時のトラウマは消えないから。


「……結月、実はずっとこれを預かっていたんだ」

「何?」


戸惑っていると、お父さんが内ポケットから白い物を取り出した。

カサッと音をたてながら、お父さんが手渡して来たのは一通の手紙。

表に『結月へ』と書かれている。

その字を見た瞬間、ドクンと大きく心臓がはねあがった。


「それ、お母さんの字……」

「そうだ。母さんが死ぬ前にお父さんに託した結月への手紙だ」

「お母さんが……託した?」


どういう……事?

生きている時にお母さんは直接渡してくれなかったっていうの?