「友達と一緒なら、仕方ないなあ。みんなと仲良くするんだぞ」
「わあ!ありがとー!」
大げさに歓声をあげるえみり。
私はパタンとドアを閉めた。
あの3人だけなら、はたから見たら普通にアットホームな雰囲気なんだろうな。
私さえいなければ、完璧なこの家……。
「……バカバカしい」
ベッドに横になって、私はつぶやいた。
バイトをすれば、すぐに家を出る資金はたまる。
だけど、お父さんはバイトを許可してくれない。
校則では、親の許可がないとバイトはできないし。
『子どもを働かせるほど、お金に困ってはいない』
以前、自立をしたくて試しにバイトをしたいと私がお父さんに言った時、そう言われた。
お金に困っていないというのではなく、私をただ単に働かせたくないだけなんだと思う。
子どもが働かないと家計が危ないんじゃないかって、知っている人に思われたくないんだろうし。
私はいつ、この息苦しい家から解放されるのだろう。
「キャハハハ」
ドアを閉めていても、楽しそうに笑うえみりの声が聞こえる。



