言い合いになって家を飛び出して、事故に遭った人を助けている場合じゃなかったはずなのに。
こんなケガを負った事などにも気が付かずに無我夢中になって救護するとか。
「お父さんから電話もらったんだけど、かなり悲痛な声だったよ」
「え?」
「アンタが事故にあったって気が動転してた。娘と認めていない人が電話で悲痛な声出すかね?」
私の言葉にえみりはうつむいてしまった。
まだ自信を持てないというの?
何を言っても無駄な気がして、しばらくお互い黙り込んだままだった。
そのうち、入り口の方が騒がしくなって、カツカツという靴音と共に先に姿を現したおばさん。
「え、えみり……っ!」
私と同じように最悪なイメージを思い描いていたのだろう。
おばさんはえみりを見てものすごい勢いで駆け寄って抱きしめると、人目もはばからず泣き出した。
「えみり、ごめんね……。ずっと辛い思いさせて」
お父さんはそんなふたりを見つめて、複雑な表情を浮かべている。



