もっと最悪な状況を頭の中で思い描いていたけれど、意外な事にえみりはそこのソファに座っていて、名前を呼ばれて反応して顔を上げる。
「……結月?」
「えみり……。アンタ、事故に遭ったんじゃ……?」
私が一番最初にここにたどり着いた事が、彼女にとってすごく驚いたのだろう。
いつもパッチリとしている目がさらに大きく見開いているような気がする。
「私が事故に遭ったんじゃなくて、車が私の目の前で電柱に突っ込んだからそれで救急車呼んで、付き添いで乗ったんだけど……」
「……なんだ」
えみりの答えにさっきまであった不安と緊張が一気に吹き飛んで、力が抜けてしまった。
命に別状はなかった事にホッとして私はえみりの隣に腰を下ろす。
事故に遭ったわけじゃないと言いながら、手のひらに包帯が巻かれていた。
「どうしたの?それ」
「……あんまり覚えてないんだけど、何とかして助けようと無我夢中だったみたい。車の窓ガラスで切っちゃってたみたいで3針縫った」
私が聞くと、えみりは手のひらを私の顔の前で広げた。



