ゆっくりと私は隣にいるリツに顔を向ける。
目が合うとリツはニッと笑みを浮かべた。
黒木さんの場合は少し距離があったかもしれないし、状況的にリツが私とかぶって見えなかったんだと思う。
そう、思いたい……。
でも、川上君は至近距離にいる。
それなのに、『ひとりで』って言った。
こんなに近くにいるのに、リツの姿が見えていないの……?
「川上君は……」
震えながら口を開くと同時に、スマホが鳴った。
ほとんど鳴る事がないスマホだったけれど、誰がかけてきたのか今はわかる。
私が出て行った後、残ったふたりはえみりを探しに出たはずだから。
きっと見つかったから帰ってこいっていうお父さんの電話のはず。
だけど、今は通話している場合じゃない。
「……出ないの?」
硬直している私にリツが言った。
いつまでも鳴りやまない着信音。
スマホをポケットから出してみると、思った通りお父さんからの着信だった。
話している場合じゃないんだけど、えみりの事があるのでとりあえず通話ボタンを押して耳にあてる。



