そんな風に笑うリツの顔が好き。
バカにしているわけじゃなくて、優しそうにそっと笑うから。
こんなに冷たい雨が降っていても、心の奥があたたかくなれる。
リツと一緒にいられる事の幸せをかみしめていると、遠くの方で救急車のサイレンの音が鳴り響いてきた。
その音は段々近くなってきて、やがて背後に迫るほどの大きさとなった。
あまりの音のでかさに何事かと振り返ってしまうけれど、すぐそこは病院。
救急の患者が運ばれてきても不思議ではない。
うるさいなと思ったけれど、病院に入るとサイレンの音はやんだ。
「今日は水も滴るいい男じゃね?」
救急車の方を見ていた私に、リツが何気なくそう口にした。
私はリツに視線を移して、プッと噴き出す。
「全然。水も滴るいい男っていうのは……」
「藤村?」
私とリツの会話を遮った誰かの声。
振り返ると、公園の入り口の方から川上君が歩いてくるのが見えた。
病院から出て来たのかな……?
川上君は傘以外に何も持っていない。
隣にいるリツも振り返ったのか、傘が少し揺れた。



