「……ノックしてよ」


グシャッと袋の口を閉じて、私はそっけなく言った。

えみりは私の元へきて胸倉をつかんだ。


「余計な事をしないでよっ!アンタが学校に行った後、お母さん血相抱えて入って来たんだから!」

「良かったじゃん。話を聞きに来たんでしょ?」

「……アンタのせいでお母さん泣いたんだからっ!アンタが余計な事をしたせいで……」


どっちの涙かわからない。

叫んでいるうちに色々なものがこみあげて来たのか、えみりはボロボロと涙をこぼした。


「それで?カツアゲされた事言ったの?」

「……言った。バットで殴られた事も」


えみりはそう言って右腕を抑える。

この前少し当たっただけで痛がっていたくらいだから、もしかしたら骨にヒビでも入ってるんじゃないかな。

私はえみりの右腕をつかんで袖をまくり上げた。

思っていたよりはアザはなかったけれど、一か所だけ青く変色していた。