これ以上は何も聞けなかったし、川上君も話さなかったので車内は沈黙状態が続く。
雨の打ちつける音と行き交う車の水しぶきをあげる音しかしなくて、この世界が終わってしまったような気すらしてくる。
「すみません、ワガママ言って送ってもらってありがとうございました」
月見沢総合病院に着いて、川上君がシートベルトを外しながら頭を下げる。
「いいのよ。こちらこそ結月ちゃんの事、ありがとうね。それから弟さん、お大事にね」
「ありがとうございます。……じゃあ、藤村。また明日」
「……また、明日」
川上君はいつものような爽やかな笑顔を残して車から降りて行った。
バタンとドアが閉まると外界から切り離されたような感覚に陥る。
おばさんとふたりきりの空間に閉じ込められてしまったようで、息苦しい。
車はゆっくりと走り出し、病院を出た。
すぐ近くにはいつも行く公園があって、リツがいるんじゃないかって窓に張り付いて見てみたけれど、打ちつける雨のせいでよく見えなかった。



