夢を見る余裕のある人は、恵まれている人なんだと思う。
私なんか夢を見たところで覚めたら虚しくなるだけなんだもん。
だからリアルだけしか見る事ができない。
できる事なら私だって現実逃避したいよ。
だけど、逃避したところでどうなるの?
結局、戻った時にみじめになるだけじゃない……?
家に帰る途中でコンビニに寄って、ジャムパンを一つ買った。
あの人が作った夕飯なんか食べたくはない。
「おかえりなさい、結月ちゃん……」
ドアを開けると、また母親面をして出迎えるあの女。
名前……なんだっけ。
めんどくさいから、おばさんでいっか。
「結月!何時だと思ってるんだ!夕飯の時間に間に合うようにしろっていつも言ってるだろ!」
いつものように無視して自分の部屋へ行こうとしたら、リビングから怒声がとんできた。



