ムスッとしたままの私とにこやかに話すおばさんを交互に見る川上君。
彼はなぜか複雑な表情を浮かべている。
「川上君は電車通学かしら?」
「あ、はい……」
「じゃあ、駅まで乗って行って。今、車回してくるわね」
おばさんはそう言って、保健の先生に頭を下げて出て行く。
「……なあ、藤村。突っ込んだ事聞くけど母親、亡くなったんだよな?」
「父の再婚相手」
「……ああ、それで“結月ちゃん”か」
そういえば川上君は私の実のお母さんが亡くなった事を知っていたんだった。
複雑な表情を浮かべていたのは、それのせいだと思う。
母親が亡くなったというのに、母と名乗る人が現れたのだから。
「お前、本当に大丈夫か?雷がそんなに怖いとは思わなかったけど」
「……だから、川上君には関係ないでしょ」
雷が怖いんじゃない。
お母さんが亡くなった事を思い出させる雷が嫌いなだけ。



