私が気にしているのは、勧誘の件じゃない。
ひとりでジャングルジムにのぼっていたかどうかっていうところ。
黒木さんの見た角度からリツの姿が見えなかったのか、ちょうど私がリツを抱きしめていたせいで見えなかったのか。
私に隠れてリツの姿が見えてなかったのならそれでいいんだけど、もう一つの意味なら怖い。
黒木さんは私の姿しか確認できていなかったのなら、リツは……。
「変な事言って、本当にごめんね」
「うん、大丈夫だから……」
黙り込んだ私を心配そうな顔で覗きこんで、手をあわせて謝る黒木さん。
大丈夫じゃないけれど、今はそう答えるしかなかった。
だって、黒木さんに確かめる事が怖かったから。
リツの唇が冷たい理由が、この世に存在しないからだって思いたくなかった。
うん……そんな事は絶対にないよ。
今日は割と静かな方だった。
川上君の事で騒いでいたナオたちも私に声をかけないだけでなく、目を合わせてくる事もなかったから。
誰もが腫れものを扱うような感じで気味が悪かったけれど、関わってこないのなら私にとってそれが一番楽。



