よく見ると彼は学ランに薄手のパーカーを下に着ているようだった。
顔は……薄暗くてよく見えない。
公園のジャングルジムにのぼって星を見るなんて、少しヤバい人かも。
それにジャングルジムじゃなくて、高い建物の方がよく見えると思うんだけど。
「流れ星なんて、ロマンチストだね」
「ロマンチストでいいじゃん。だって、流れ星に願えば願いが叶うんだぜ?」
彼の答えがあまりにバカバカしくて、思わず笑ってしまった。
「そんなの迷信でしょ?だって流れ星って、宇宙を漂うチリとか小さな岩のかけらなんでしょ?そんなものに願いかけたって叶うワケなくない?」
「つまんねーヤツだな。夢くらい持てばいいのに」
バカにしたつもりが逆にバカにされたような気分。
鼻でフッと笑った彼にそう返されて、私は思わずムッとなってしまった。
「夢なんか見てても虚しくなるだけ。みんなアンタみたいに夢見がちだと思わないでね」
吐き捨てるようにそう言って、私は公園をあとにした。



