ジャングルジムの横を通り抜ける時、何気なくチラッと見てみた。
タバコでも吸って、ガラにもなくたそがれてる不良なのかなとも思ったし。
けれど、彼の手にタバコなんかなくて、ただ夜空を見上げているだけだった。
流れ星でも探しているとか……?
「……こんばんは」
私の視線に気が付いたのか、ジャングルジムの彼は私の方を向いてそう言った。
目が合った上に突然声をかけられて、私は驚いてとっさに返事をする事ができなかった。
「こ、こんばんは……」
何とか挨拶を返すと、彼がフッと笑みをこぼした。
「そこで何してんの?星見るなら、ここまでのぼってくればいいじゃん」
「いや、私は別に……」
何してんのって、私のセリフなんだけど。
聞かなくても彼がそこで星を見ているという事はわかった。
「……ねえ。星を見上げて何してるの?流れ星でも探してるとか?」
「うん、まあ、そんなとこ」
私の質問に彼は、どこか濁すような答え方をした。



