違う角度から見てみればって言われても、真っ正面からしか見る事ができない。
かける言葉もなく、ただ黙って私はえみりを見ていた。
「……何?言いたい事があるなら言えば?」
顔を見られたくないのか、私に背を向けたまま刺々しい口調で言うえみり。
虚勢を張っているってわかっていても、私への態度はいつもと同じ。
これを違う角度からどういう風に見ろっていうの……。
「……一晩中泣いてたの?何のために?」
「はあ?別に泣いてないし」
私の指摘にえみりは背を向けたまま慌てたように目をこする。
これじゃダメだ。
どう考えても別の角度も何もない。
時間の無駄だと思い、私はジャーッと水を出して顔を洗った。
タオルで顔を拭いた後、歯を磨くために歯ブラシに手を伸ばす。
「昨日の……事だけど」
「……ん?」
しぼりだすような声のえみり。
彼女の方を見ずに聞き返す。



