リツが静かにうなずいたので、私はとたんにムッとしてしまった。

それって私があの家族の輪の中に入るって事だよね……?

そんなの無理に決まってるじゃない。


「さっき妹の事を助けてあげてたじゃん。それは結月が助けたいと思ったからでしょ?」


あれは別にえみりを助けたわけではない。

そう何度説明しているのに、リツは穏やかに笑うだけ。


「結月は知らない事がたくさんありすぎるよ。きっと何も見ようとしないで逃げてるだけ」

「だって、そんなの知りたくもないし見たくもない……」

「違う角度から見てみれば?そうすれば見えなかったものが見えてくるから。……オレは今そうしてる」


違う角度から、リツも見てるの……?

黙り込んでいたら、リツは私の小指に自分の小指を絡ませてきた。


「難しい問題だけど、結月にはオレがついてる。オレがそばにいるから……」


優しいまなざしでそう言われてしまうと、うなずくしかない。

私はコクンと静かにうなずく。