こんな風に男の子に抱き寄せられるのは初めての事で、一気に体温が上昇していく。
ドキドキという心臓の音もうるさく感じて、リツの手を握る手が汗ばんでいくような気がした。
「結月が心の底から笑えるようになるまでオレは消えない」
「……笑えるようになったら消えちゃうの?」
リツの言葉に不安になって顔を上げると、指先で私の涙をぬぐってそのまま空を指さす。
「それは星にしかわからないかも」
「……何それ」
変な事を言うリツに思わず噴き出してしまった。
涙で濡れた頬を風がなでていく。
少しずつ夜風が冷たくなっていくのを感じながら、私は星を見上げる。
「……ねえ、リツ」
「何?」
「……星に願ってもいい?リツとずっとずっと一緒にいられますようにって」
私を抱き寄せたまま、リツも星空を見上げた。



