自分がいなければ……って、私と一緒だ。
リツの横顔を見ていたら、急に涙がこみあげてきてしまった。
雨の日に見たのと同じで、今にも消えそうなほど儚くて切なくて。
それでいて異様に綺麗で……。
「……結月?」
驚いたリツが顔を上げて、揺れる瞳で私をとらえる。
私がリツの手をギュッと握ったからだ。
彼の手はあの雨の日と同じようにひんやりと、雪のように冷たい。
「いなければ……なんて思わないで。リツがいるから私もここにいられる。いなくなったら私、どこにも居場所がないよ……っ!」
ポロポロと涙をこぼしながら訴えると、リツはフッと笑った。
あまりに優しく笑うから、余計に涙があふれて視界がぼやけていく。
「……いなくならないよ、オレは」
そう言って、リツは私をそっと抱き寄せてくれた。



