皮肉もこめて少しおどけたように言ったけれど、リツは笑わなかった。
「その女の子……えみりは私のふたつ下なんだけど、親の前ではいい子ぶって私とふたりきりの時はネチネチと嫌がらせしてくるの」
「うんうん、それで?」
真剣な表情で時々うなずきながら、リツは黙って聞いてくれる。
それがすごく心地よくて私は自分の置かれている環境を全てさらけ出してしまった。
弱い部分を見せるみたいで今までは誰にも言わなかったけれど、なぜかリツには言ってもいいかなって。
不思議とそう思えたんだ。
「そっか、それは辛いよな。だから、ここで初めて会った日、あんな事言ったのか」
「……だってそうでしょう?夢なんか見ても虚しくなるだけだもん」
「オレは逆だよ。夢の中だけで生きてる」
リツの言動はよくわからない。
夢の中だけで生きてる……ってどういう意味?
わけがわからなくて、リツを凝視していたら、私の顔を指さしてプッと笑った。
「すげー顔」
「し、失礼な!リツがわけのわからない事を言うからでしょっ!」
人の顔を見て笑うなんて、本当に失礼。
そう言ってそっぽを向いた私を見てさらに笑っている。
「そうやって自分をさらけ出せるなら、大丈夫だと思う」
「……ん?」
「だから、オレみたいに現実逃避なんかしなくても」
そう言って、リツは空を仰いだ。



