俊介が戻っていく
後姿を見つめながら


高山はぼそっとつぶやいた。


「うさんくせぇ」


そう言って仕事をしている俊介を
高山はじっと見つめている。


「何を言ってるのよ。
俊介さんのどこが胡散臭いのよ」


亜美が小声で高山を問い詰める。


高山は俊介の味方をする亜美を
にらみつけた。


「すべてだよ。
あいつのすべてが胡散臭い」


亜美はまた怒った顔になる。


大好きな先輩の俊介を
侮辱する高山を

亜美は許せない。


「いい加減にしなさいよ。

あんな優しい先輩を侮辱するなんて
あんた最低ね」

亜美の言葉を聞いた高山が
ニヤリといやらしい笑いを浮かべる。


「だってあいつの恋人は
突然失踪したんだぜ」