「おいしいよ」

アキの声ではっと我に返る。

慌ててアキを見ると、アキはお粥を食べてくれていた。


「ほ、んと?」

「ほんと」


嬉しい。すごく、嬉しい。

アキがあたしの作ったご飯をほめてくれることなんて、今まで一度もない。

それどころか罵られてばかりだ。


「よかった」


本当に、良かった。


「ありがと」

「どういたしまして」


なんだか、やさしい時間だ。

穏やかに、ゆるやかに、時間が流れていくような、そんな心地がした。


「明日、あたし出かけるけどアキはここから出ずにゆっくり休んでてね」

するとアキは「どこに行くの?」と問いかけた。


「どこって、アキ、忘れちゃったの?美晴と田辺くんとの調べものがある予定でしょ?」


この前、田辺くんが何者かに乗っ取られてしまったせいで、あたしも田辺くんも何も調べることができなかった。

それで休日に集まって調べを進めようという話になったんだ。