「ちゃんとひとを見てる。ひとの中身を見てる。

それはとってもすてきなこと」


それからお姉ちゃんはまた頭を撫でた。


「ちょ、お姉ちゃん!」


あたしは驚いて思わず大きな声をだしてしまったけど、お姉ちゃんは特に気にも留めない様子で、むしろ上機嫌であたしの頭を撫で続ける。


「ね、ねえ、これ、いつまで続くの?」

「私の気が済むまで」

「そんなワガママな」


暴言を吐く妹と、それをも包み込むほどの優しさと鋼の心を持つ姉。

平均的な妹と、才色兼備な姉。

冷静さを保つ妹と、鈍感でふわふわな姉。

あたしと、お姉ちゃん。

まるで正反対な姉妹。


だけどどれだけかけ離れていても、それは憧れとしてその距離を埋めていく。

それにもう、関係ないんだ、距離なんて。

だって、あたし達は姉妹だから。


「ほんと、可愛いわね、我が妹」

「姉上こそ、お美しいですよ」


わざとかしこまった言い方をして、二人とも吹き出して笑った。


笑った時にできる、えくぼの位置。

姉も同じ場所にえくぼをつくっていて、なぜだか無性に、ああ、姉妹だって実感した。

それから久しぶりに手なんて繋いでリビングに戻る。


まるでいつかの幼い頃のように。