「アキのことは普通に幼なじみだと思ってる。変わり者だし面倒くさいところもあるし、ヤなところもあるけど、それでもすごくいいヤツだと思うよ」


普段、周りのことなんて全く関係なさそうなそぶりを見せるくせに、自分の身内を何より大切にするひと。

身内には優しくて、身内を危険にさらすものは決して許さない。

才能もあって、努力もしてる。

すごいヤツだと、認めざるを得ない。


「だけどそういう、恋愛の対象として思ったことはないね」


アキはあくまで幼なじみだ。

それ以上でも、それ以下でもない。


「じゃあ、リドとかいう悪魔?」


「はあ!?」


あたしは叫んで否定した。


「あ・り・え・な・い!」


ありえないよ、お姉ちゃん、一体何を言っているの。


「リドだよ!?あの俺様悪魔だよ!?ネコかと思って親切にしてやったら悪魔だった、あのリドだよ!?勝手に契約してきていろいろ要求する、犯罪者みたいなやつだよ!?」

それのどこを好きになるというの、と叫ぶと、お姉ちゃんは「でも、カッコイイんでしょ」という。


「カッコイイとは思うけど、それは見た目の話だし、仮にカッコイイとしてもそれだけで好きにはならないよ」


すると「佐奈はマジメだね」という予想外の答えが返ってきた。