悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!

「お前、名前は」


すると朔兄が「駄目だ」と叫ぶ。


「名前を言ってはいけない!」


その苦しそうな声に胸がぎゅっと痛くなった。


「朔兄に危害を加えないでって言ってるでしょうが!」


「お前が名乗れば、そいつを解放してやってもいいけど」


どうする?と猫は挑戦的に言う。


なんて腹立たしい猫だ。こんなに猫が腹立たしいと思うのは、小学校のときに可愛がってた野良猫に引っ掛かれた以来だ。


「…約束は守るんでしょうね」


「約束じゃなくて、契約な」


猫は笑う。

嫌みったらしい笑い方で、憎悪をかきたてるような笑い方で、ニヤリと口を歪める。


「駄目だ…!」


朔兄は苦しそうに言う。


朔兄が間違いを言ったことは今まで1度もない。

それに朔兄が駄目だというのは、いつもあたし達が危険な目に合うときだ。

だから今回だって、そうなのだろう。


だけど、もうこれ以上、朔兄が苦しんでいるところなんて見ていられない。


「あたしは、佐奈。

最上(もがみ)佐奈」


朔兄の方を見ると、朔兄は「佐奈ちゃん…」と辛そうな表情をした。


「…ごめん、朔兄」


あたしはもう一度、ごめん、と言った。

それから前を向いて猫を睨みつけた。