悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!

「ごめん」


アキは俯いた。

今にも泣いてしまいそうなほど、小さくて頼りない声だった。

何て言ったらいいか分からなくて、

何をしたらいいか分からなくて、

どうしようと頭を抱えていた、その時だった。


「え…?」


お母さんの匂いがふわっと私たちを包み込んだ。


ふととなりをみると、お母さんがあたしとアキの肩を抱いていた。


お母さんは目を閉じて、穏やかな笑みを浮かべている。


とん、とん、とん、とお母さんがあたしたちの肩をやさしく叩く。

それはいつか幼い頃、泣き止まないときにしてもらったことを思い出す。


「大丈夫」


やさしい旋律のような声が耳元で響く。

なんの根拠も理由も何もないのに、それだけで本当に大丈夫だと思えてしまうから不思議だ。


「そんなに心配しなくても、佐奈は大丈夫。

あたしの娘は簡単には負けるほど弱くないわ」


なにそれ。

思わず笑ってしまった。

お母さんと目が合って、さらに笑みがこぼれる。

最初は微笑むだけだったお母さんも徐々にクスクスと肩を揺らす。


アキはというと目を見開いていた。

それから息を吐き出すのと同時に、ふっと余計な力が抜けたような顔をした。


「うん」


顔を上げたアキはまたいつもの穏やかな表情に戻っていた。


「ありがとう」