「こんな訳の分からない感情、初めてだ」
アキはあたしの手を自分のおでこに当てる。
「アキ」
あたしの手にアキの体温が伝わる。
それはずっと昔から変わらない、優しくて暖かい温度。
アキは基本的に他人には興味を示さない性格だけど、それでもずっとあたしの味方でいてくれた。
あたしの味方、というよりは、「自分の身内」である人物に対する思い入れが強い。
「自分の身内」、というのは、例えば家族、幼なじみ、親友等が当てはまるわけで。
だからアキはあたしや朔兄がリドに危害を加えられたときに激怒した。
「アキは、間違ってないよ」
あたしはアキの手を握りしめた。
アキの手、大きいな、なんて当たり前のことを思う。
アキほど自分の身内に対する思いが強くなくても、あんな生意気な俺様悪魔に危害を加えられたら腹立たしく思うのが普通だろう。あたしだって怒る。実際怒ってる。
だからアキの反応は別に可笑しくなんてないんだ。普通の気持ちなんだ。
「リドが腹立たしいと思うのは普通だよ。実際に朔兄、傷つけられたんだよ」
あたしだって怒ってるよ、というとアキはあたしの手を強く握り返した。
「違う」
アキは悔しそうに、腹立たしそうに、短く言った。
「え……?」


