「あの黒猫姿は仮の姿。
力が足りないとこの姿を保てない」


「ちょ、ちょっと待って。

ということは、今は__」


焦るあたしをあざ笑うように、リドは言葉を紡いだ。


「ああ、ようやく戻ってきた。

オレ様の、本当の力」


アキは何も喋らないなと思っていると、案の定リドを睨み付けていた。

「佐奈、今日晩ご飯当番の予定だったよね」

「え?あ、うん」

それがどうしたの、とアキに問うと「やっぱ、いい」と言った。


「晩ご飯、俺も作るから」


「一緒に作ろう」とアキはそっけなく言った。


「は?え、なんで?」

「佐奈と今のリドは一緒にいてほしくない」


そういうとアキはリドを睨みつけた。


「佐奈に危害を加えたら許さない」


するとリドはニヤリと笑った。


「主人がしもべに何をしようとそれは主人であるオレの勝手だけどな」


アキはさらに眉間にしわを寄せてリドを睨んだ。


「行こ」

「えっ、ちょ、アキ?!」


いきなり掴まれた、手首。

掴んできたのは、まさかのアキ。

アキはあたしを引っ張るようにして台所に向かった。

リドはあたし達をみて鼻で笑っていた。やっぱこいつむかつく!