「それにこの"黒い竜"…"dark dragon"って本当の題名には書いてある。意味は、佐奈でも分かるでしょ?」
アキの問いかけにあたしは頷いた。
「闇の、竜」
自分が言った答えにあたしはさらに怖くなった。
「つまりこの本の本当の題名は、闇の竜を発動する呪文、という意味。この本の題名それ自体が呪文だったんだよ」
あたしはもう自分を抱きしめたまま動けなくなってしまった。
あたしが呼び出してしまった、この怪物を。
その事実が怖くて仕方がない。
突然怪物は雄たけびをあげた。
耳をつんざくようなその声にはっと怪物の方を見ると、田辺くんが冷たい目であたしを見ていた。
「今更そのことに気づくなんて、本当に愚かだ」
田辺くんは温度のない声でそう言った。
けれどその口調は、言葉遣いは、雰囲気は、確実にいつもの田辺くんとは違う。
あたしは確信していた。
これは、田辺くんじゃない。
「ねえ、あんたは誰?
あんたは、田辺くんじゃないよね?」
そう問いかけたけど田辺くんは何も答えずに右手を上げた。
それを合図に竜はまた雄たけびを上げて口を開くと文字を吐き出していく。
崩れる本棚、散らばる無数の本。
『図書館では静かに』と書かれた張り紙も、空しく宙に舞う。
「どうしよう、アキ!」
アキの問いかけにあたしは頷いた。
「闇の、竜」
自分が言った答えにあたしはさらに怖くなった。
「つまりこの本の本当の題名は、闇の竜を発動する呪文、という意味。この本の題名それ自体が呪文だったんだよ」
あたしはもう自分を抱きしめたまま動けなくなってしまった。
あたしが呼び出してしまった、この怪物を。
その事実が怖くて仕方がない。
突然怪物は雄たけびをあげた。
耳をつんざくようなその声にはっと怪物の方を見ると、田辺くんが冷たい目であたしを見ていた。
「今更そのことに気づくなんて、本当に愚かだ」
田辺くんは温度のない声でそう言った。
けれどその口調は、言葉遣いは、雰囲気は、確実にいつもの田辺くんとは違う。
あたしは確信していた。
これは、田辺くんじゃない。
「ねえ、あんたは誰?
あんたは、田辺くんじゃないよね?」
そう問いかけたけど田辺くんは何も答えずに右手を上げた。
それを合図に竜はまた雄たけびを上げて口を開くと文字を吐き出していく。
崩れる本棚、散らばる無数の本。
『図書館では静かに』と書かれた張り紙も、空しく宙に舞う。
「どうしよう、アキ!」


