「褒められたね!」

開口一番それを言うか、とアキはジトッとあたしの方を見たが、あたしは気にせず「だって、そうでしょう?」と言った。

「まあ、そうだね」

「だよね、田辺くん!」

あたしを不憫に思ったのか、頷いてくれた田辺くんは小さく笑っていた。

「だけどデータがまだ足りないとも言われたわね」

冷静なことを言うのはやっぱり美晴だ。

「そうだね」

田辺くんも頷いた。

「調べられる資料は全て調べたはずだけど」

ため息交じりにそう言ったアキに、田辺くんはまた頷いた。

「やっぱり、現場検証が必要だよ。小学校に行こう」

そうね、と美晴は頷いた。

あたしは少し複雑な思いでその発言を聞いていた。

美晴はそんなあたしに気づいたのか「佐奈、どうかした?」と尋ねる。

「足、まだ痛むの?」

心配そうな顔であたしを見つめる美晴に「大丈夫だよ!」と笑って見せた。

足の怪我自体はなんてことない軽傷だった。

だけどこの怪我は悪魔による怪我、アキ曰く魔傷(ましょう)というものらしく、傷自体は軽傷でも、治るのが遅くなったり動かなくなったりと怪我が悪化するらしい。

それでもアキが清めてくれたから、今ではほとんど怪我も治って普通に歩くことだってできる。

大丈夫という言葉に安心したのか「それなら良かったけど」と美晴が言った。

「気をつけなさいよ?」

「はーい」

軽い調子で返事をすると「説得力がない」と美晴は溜息を吐いた。