「なんで止めるの、親父」
アキは視線だけ廊下に寄越して、不服そうにそう言った。
「今から仕留めるところなのに」
すると廊下にいたその人物は、本殿に入ってきた。
「まあ、そう焦るな」
いきなり入ってきたこの人物__この神社の神主であり、朔兄とアキのお父さんは、物怖じしていない様子でそう言った。
「やあ、佐奈ちゃん」
よく来たね、と微笑みかけられる。
「はあ、どうも」
あっけにとられて変な挨拶をしてしまった。
それからアキのお父さんは微笑んで、あたしの前に腰を落とすと「この猫がそうなんだね」と言った。
「な、なんだよ、お前」
リドは眉間にしわを寄せて警戒しているようだった。
「なるほど、きみは見かけによらず悪魔で、佐奈ちゃんと契約をしたんだね。それで晃はこんなに怒ってきみと戦っているわけか」
なるほど、なるほど。
アキのお父さんは納得した様子で何度も頷いていた。
「何納得してるのか知らないけど、ちょっとどいててくれる?」
アキは苛立った様子でそう言った。
「そこ、邪魔なんだよね」


