「え、でも、待ってください。僕達この話初めて聞いたんですが」
少し混乱した様子の田辺くんがそう尋ねると、「それもそうさ」とおばちゃんは言った。
「この話を聞いて育ったのはあたしらの年代だけさ。あんた達の親の世代も知らないだろうよ。
悪魔が出てくるような話は本当のはずがないって偉い人達が言って回ってねエ。
それからこの話に関わる文章は間違っているって言われたり、子どもや孫に語り継ぐこともなくなったのさ」
おかしな話だろう、とおばちゃんは言った。
「どれが真実かだなんて、そんなのその時に生きていた者しか知らないのにねエ」
それから一口麦茶をすすって、おばちゃんはあたし達に笑いかけた。
「だけどあたしはこの話が本当だと思ってるのさ」
「違う」
否定したのはリドだった。
みんなの視線が集まるけれど、リドは俯いたままだった。
「違う、これが本当じゃない、こんなのが本当じゃない。だって本当は__」
リドはそこまで言うとはっと顔を上げた。
その顔はひどく動揺していた。
「り、リド?」
あたしが声をかけると、リドははっとあたしの方を見た。
それからすぐに視線を逸らして、「ありがとうございました」とお茶をおばちゃんに返すと店を走り去るように出ていった。
「リド!」
あたしは慌てて店先に出てリドを呼ぶけど、リドは振り返らない。
「追うよ」
アキがあたしのそばでそう言った。
「みんなも、あいつを追いかけよう。あいつを1人にしちゃいけない」
田辺くんも美晴も頷いた。
少し混乱した様子の田辺くんがそう尋ねると、「それもそうさ」とおばちゃんは言った。
「この話を聞いて育ったのはあたしらの年代だけさ。あんた達の親の世代も知らないだろうよ。
悪魔が出てくるような話は本当のはずがないって偉い人達が言って回ってねエ。
それからこの話に関わる文章は間違っているって言われたり、子どもや孫に語り継ぐこともなくなったのさ」
おかしな話だろう、とおばちゃんは言った。
「どれが真実かだなんて、そんなのその時に生きていた者しか知らないのにねエ」
それから一口麦茶をすすって、おばちゃんはあたし達に笑いかけた。
「だけどあたしはこの話が本当だと思ってるのさ」
「違う」
否定したのはリドだった。
みんなの視線が集まるけれど、リドは俯いたままだった。
「違う、これが本当じゃない、こんなのが本当じゃない。だって本当は__」
リドはそこまで言うとはっと顔を上げた。
その顔はひどく動揺していた。
「り、リド?」
あたしが声をかけると、リドははっとあたしの方を見た。
それからすぐに視線を逸らして、「ありがとうございました」とお茶をおばちゃんに返すと店を走り去るように出ていった。
「リド!」
あたしは慌てて店先に出てリドを呼ぶけど、リドは振り返らない。
「追うよ」
アキがあたしのそばでそう言った。
「みんなも、あいつを追いかけよう。あいつを1人にしちゃいけない」
田辺くんも美晴も頷いた。


