「アホじゃないもん!アホはリドだもん!」

「アホって言うヤツがアホなんです~」

「うっわー、むかつく!アホって言い出したのはリドじゃん!やっぱリドがアホじゃん!」

「オレは事実を述べただけだ。佐奈がアホだって言っただけなんだから佐奈と一緒にすんじゃねえよアホ」

むかつく!

またあたしが反論しようと「リド」と呼ぼうとしたところで、「佐奈」と隣から冷静な声が突き刺さる。

「まだ小学生以下のバカなやり取りを続けるつもり?」

冷たい言葉、まるで氷のような視線。

「…うるさくしてごめんなさい」

いたたまれなくなって頭を下げると、「ふん」とアキは視線をまた逸らした。怒っているらしい。

すると美晴が振り返って「ちょっと寄り道しない?」といたずらっぽく笑った。


「おじゃましまーす」

寄り道で寄ったのは、小学校の近くにある駄菓子屋。

「あらあ、佐奈ちゃん、美晴ちゃん、晃くんじゃないかい!まあ、こんなに大きくなってエ!」

「おばちゃん久しぶり!」

出てきてくれたのはお店のおばちゃん。相変わらずえくぼが愛らしいくて優しい笑顔の人だ。

しょっちゅう寄り道していたせいで、あたしも美晴もアキもここの常連でおばちゃんとも仲良しだ。

「おばちゃん変わらないのね」

「そりゃそうさ。美晴ちゃんは小学校の時から美人さんだけどもっと美人さんになったねエ」

またそんな冗談を言って、と美晴ははぐらかしていたけけど久々におばちゃんに会えたからか嬉しそうだった。