「あれ、本当?まあ、それならオレは行くよ」

お邪魔しました、なんて言ってリドは振り返った。

「天宮大火、すごく面白そうだよね。今日、現場に__天宮小学校に行くんでしょう?オレも興味あるから、ついて行ってもいいかな?」

なんという爆弾発言だ。

あたしは絶句し、美晴はアキの様子を心配そうに見ていた。

アキは眉間にしわを寄せ、隠すことなくあからさまに不機嫌そうな顔をした。

来るな、と言葉にはしないもののそう言っているようだった。

事情を何も知らない田辺くんだけは嬉しそうにニコニコ微笑みながら「もちろん」と言った。


「ありがとう、田辺くん。

…東條君もいいかな?」


リドはちらりと勝ち誇った笑みでアキを見つめた。

事情を何も知らない田辺くんがいる前で、アキはリドを拒むことはできない。

それをきっとリドも知っている。

知っているからこんなことを言い出したのだろう。嫌がらせだ。


「…余計なことはしないでよね」


アキは睨みつけながらそう言った。

今のアキに言える精一杯はそれだけだったのだろう。悔しいけど、あたしもそれ以上何も言うことはできない。


「もちろん」


胡散臭く微笑むとリドは背を向けて歩き出した。


「楽しみにしてるよ」


到底嫌味にしか聞こえない言葉を残していったリドに果てしない腹立たしさが募っていった。