「あらあらさっくんじゃない!」
ハイテンションで出迎えるお母さんに、朔兄は「こんばんは」と穏やかに微笑んだ。
その後ろから出てきたあたしを見つけた朔兄は「佐奈ちゃん、迎えに来たよ」と言った。
朔兄がうちに来たと分かったときから、多分朔兄の要件はそうなのだろうなと分かっていた。
「さ、一緒に帰ろ」
朔兄は微笑む。あたしに向けられた微笑み。
だけど一瞬だけ朔兄はあたしの後ろに視線を向けて、はっとした表情を見せて、またあたしに微笑んだ。
それは1秒にも満たないわずかな時間に起きたこと。
だけどそれだけであたしは分かってしまった。
けどあたしはそれを見て見ぬふりをした。
「うん、帰ろ」
玄関に降りて靴を履き替え、また明日来るよ、とお母さんに告げると「はいはい、また明日ね」とお母さんは笑った。
あたしの後リビングから出てきたお姉ちゃんはうんともすんとも言わないどころか、視線を下に向けたままこちらに視線を向けることはなかった。
「じゃあ、おやすみ」
「おやすみなさい」
「おやすみ。気を付けて帰るのよ」
また明日、と手を振って家を出る。
玄関の引き戸を閉めるけど、最後の最後までお姉ちゃんは下を向いていた。
ハイテンションで出迎えるお母さんに、朔兄は「こんばんは」と穏やかに微笑んだ。
その後ろから出てきたあたしを見つけた朔兄は「佐奈ちゃん、迎えに来たよ」と言った。
朔兄がうちに来たと分かったときから、多分朔兄の要件はそうなのだろうなと分かっていた。
「さ、一緒に帰ろ」
朔兄は微笑む。あたしに向けられた微笑み。
だけど一瞬だけ朔兄はあたしの後ろに視線を向けて、はっとした表情を見せて、またあたしに微笑んだ。
それは1秒にも満たないわずかな時間に起きたこと。
だけどそれだけであたしは分かってしまった。
けどあたしはそれを見て見ぬふりをした。
「うん、帰ろ」
玄関に降りて靴を履き替え、また明日来るよ、とお母さんに告げると「はいはい、また明日ね」とお母さんは笑った。
あたしの後リビングから出てきたお姉ちゃんはうんともすんとも言わないどころか、視線を下に向けたままこちらに視線を向けることはなかった。
「じゃあ、おやすみ」
「おやすみなさい」
「おやすみ。気を付けて帰るのよ」
また明日、と手を振って家を出る。
玄関の引き戸を閉めるけど、最後の最後までお姉ちゃんは下を向いていた。


