悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!

お母さんにはすべて見透かされているような気がした。

「…この1週間、色々あったよ」

「そう、でも楽しそうね」

「うん、楽しいよ」

悲しくもないし、辛くもないよ。

そう伝えるとお母さんは「それは良かった」と笑った。


そう悲しくはない、辛くもない。

ただちょっとだけ、胸がぎゅっと締め付けられるような感覚が、少しの息苦しさが、離れてくれないだけだ。


だけどこれはきっと、恋の証。

アキへの特別な気持ちを示すもの。


ぎゅっと胸の真ん中で拳を握っていると、玄関が開く音が聞こえた。


「ただいまー!」


帰ってきたのはお姉ちゃんだった。

外を歩いたのか少しだけその額は汗ばんでいるけど、表情はとても晴れやか、というよりはニヤニヤしている。どうした。

「佐奈、お帰りなさい!」

「あ、うん、ただいま。お姉ちゃんもお帰り」

姉のテンションの高さに一体何があったのかと心配していると、その理由を聞く前にお姉ちゃんは話し出した。

「高校の時の部活の友達に会ってきたの!みんな全然変わってなかったの!なんだか昔に戻った気分!」

楽しかった、と満面の笑みをする姉に、母とあたしは「よかったね」と口をそろえた。

とりあえず姉は正常だ。良かった、良かった。

「私も後で麦茶飲むよ」とお姉ちゃんは言い残してシャワーを浴びに行った。

「さ、そろそろお昼ご飯を作ろうかね」

まるでおばあちゃんみたいな言い方をして「よっこらせ」と椅子から立ち上がったお母さん。

「お昼ご飯、何がいい?」

「お母さんのごはんならなんでも」

即答すると「それがいちばん困る答えだよ」とお母さんは文句を言いながら台所に向かった。

あたしはそれを受け流してお茶を一口飲んだ。