「なに、これ」

「アキが自分で切ったんでしょ!?3人分のご飯をつくるのに、茄子4本使うのはさすがに多すぎだよ!」

「一体何を作る気なの」と詰め寄ると、アキはショックを受けているのか「あ、うん」とどっちつかずな返事をした。

あたしは一つため息を吐いて、「どうしたの?」とアキの顔を覗き込んだ。

アキはびっくりしたような、放心状態のような、そんな顔をしている。

なんで、そんな顔をするの。


「アキ、どうしたの?体調悪い?」


そう尋ねるけど、「大丈夫だから」と言いながら今度はキュウリを切り出した。

絶対大丈夫じゃないなとあたしは思いつつ、アキの隣でトマトを切った。





できあがった夏野菜カレーの具材は圧倒的に茄子が多かった。


「茄子ばっかりだな」

リドはスプーンですくいながら言った。

「うるさい、文句あるなら食べるな」

アキはピリピリしているようで、普通なら受け流すリドの挑発にも乗ってしまっている。

おかしい、と思ってリドの方を見ると、リドもあたしを見ていた。どうやらリドもアキがおかしいと思い始めているようだった。

けれども心配はしていないようだ。面白くなってきたと言わんばかりに目を輝かせている。