「…リドは大丈夫。佐奈に『巻き込んでごめん』って言ってたよ」


それから姿を消しちゃったけど、とアキは苦い顔で教えてくれた。

ごめんって、何だ。なんで謝るんだ。

リドは悪いことは何もしてないじゃないか。

巻き込んでごめんって、どういう意味だ。

怪我をしてるなら、治療が必要なんじゃないのか。

分からない、リドが分からない。


というかそもそも、あたしはリドについて何も知らない。


「あたし、何も知らない…」


天宮神社の人々によって現在の小学校の位置に封印されていた、ちょっと力の強い俺様悪魔だということしか知らない。


「もっと知りたい」


リドのことを、もっと。

どうして小学校に封印されていたのか。

どうしてあたしと契約を結んだのか。

あの敵は何なのか。


「今は、何も考えずに眠って」


アキが優しく頭をなでるから、ふっと眠気が思考回路を覆っていく。


「あ、き…」


「おやすみ」


脳をなぞるような甘く優しい声が聞こえて、あたしは眠りに落ちた。