「無事か?」

「り、リド!」

リドは息を荒くしながら「その様子じゃ大丈夫なようだな」とホッとしたようだった。

「お前に怪我がなくて良かったよ」

リドがいつになく優しい顔をして笑うから儚く見えてしまう。このまま命が消えてしまうんじゃないかって胸がざわざわする。

「良かった、じゃないでしょ!もしかしてリド、あんた、あたしを庇って怪我したんじゃ…!」

するとリドは「バーカ」と答えた。

「オレはこれくらいでやられたりしねぇよ」

見くびるな、と強気で答えるけど否定していないことに胸がぎゅっとなった。


「どうして、どうして庇ったりしたの!」

あたしなんか放っておけば良かったじゃない、と叫ぶように言うと「そんなのできるかよ」とリドがあたしの頭を優しく撫でる。


「お前はオレのだからな」


だからって自分が怪我したら意味がないじゃないか。バカだよ、アキもリドも、本当にバカだ。自分を犠牲にしてまで何かをするなんて、大馬鹿だ。


「おい、ここから逃げようとするんじゃねえよ。無謀だ。あいつは姿を見せない上にどこからでも攻撃してくる。だが佐奈はあいつに攻撃できない。お前に勝ち目はねえよ。諦めてオレに守られてろ。絶対守ってやるから」

「でもこのままじゃリドがやられちゃう!」

それもあたしを守っているせいで。そんなの、何も行動せずにいるなんて、できるわけないじゃない!

それにどうやら敵の狙いはあたしだ。リドの腕の中から出ていけば、リドは攻撃を受けずに済む。