「あいつのそばにいて、もしあいつが何かしようとしたら、俺に知らせてほしいんだ」

「それなら、アキが一緒にいたらいいんじゃない?」


するとアキは「そうできるならそうしたいところだけどね」とため息を吐いた。


「あいつは俺のことが嫌いだから、あいつは俺のそばから離れていくしそばにいようとはしない」


それに、俺もあいつのこと嫌いだし。

そう付け加えたアキの顔はまるで子どものようで少しおかしかった。


「何笑ってんの」


アキはムッとして不機嫌な顔をした。


「なんでもない」と笑いをかみ殺しながら訂正すると、まだ何か言いたそうな様子ではあったけれど「それならいいけど」と言った。


これからリドと一緒に行動するのか。リドのニヤリと不気味に笑う顔を思い出して不安に思っていると、ふっと思い出した。


「でもさ、あたしがリドと一緒にいると大変そうなんだけど。特にクラスの女の子とか」


というのも、先ほどリドが好みのタイプがあたしだとかなんとか適当なことを言ったせいだ。

女の子たちの輪の中から出るためとはいえ、なんて強引で後処理が面倒くさい手を使ったのか。おかげでクラスの女の子から敵意を向けられる羽目になった。リドはあたしの楽しい高校生ライフを壊したんだ、許せない。